ド  イ  ツ


歴 史   主な産地   格付けについて   葡萄品種(白)   葡萄品種(赤) 

【歴史】

ドイツのぶどう栽培の起源は古代ローマ時代、一世紀にさかのぼります。中世になると、おもに修道院によってぶどう栽培が進められました。15世紀頃には、アルザス地方を含み現在の4倍ほどの広さを有したドイツワイン生産地域は最盛期を迎えます
 最初に栽培されたぶどう品種はエルプリングであるといわれています。リースリングはかなり遅く1435年のラインガウの文献にはじめて登場します。モーゼルでもその後まもなくのことです。1648年に終結した30年戦争の末、アルザスはフランスの領土となりました。シュぺートレーゼの誕生は1775年といわれています。ラインガウにあるヨハニスベルク城でアクシデントによってぶどうの摘み取りが遅れ、カビがはえて干からびたぶどうから造ったワインがいままでにない素晴らしいものであった、それが遅摘みワイン、シュぺートレーゼのはじまりです
 1980年代にはいると、ドイツワインの名は砂糖水により荒廃してしまいます。品質の低いワインのシェアが拡大され、輸出も増えていきました。しかし、意欲的な小さな生産者達は、辛口から甘口に至る無類のすばらしいワインを作るため、ドイツの最高のぶどう畑の申し分のない可能性を発見しました。今日、ドイツには1万以上のワイン醸造所があります。


【主な産地】

●Ahr(アール)
ドイツ国内で一番赤ワインに力を入れている地方。国内の総生産量こそ少ないが、この地方では8割以上は赤ワインが主流。そして、なんと赤の貴腐ワインがつくられている。
●Rheinhessen(ラインヘッセン)
誰が飲んでも抵抗のないワインを産出する地域。ここの土壌は黄土の厚みが10m近くもあって地形の傾斜が平らで温暖な気候の為に安定したまろやかな口当たりのワインが生まれる。有名な村にOppenheim(オッペンハイム)、Nierstein(ニアシュタイン)など。ラインフロントではRS(ラインヘッセン・シルヴァーナ)と言う運動が盛んでここで味わえるシルヴァーナは他とはちょっと 違う上質の味。
●Rheingau(ラインガウ)
ドイツワインの銘酒を産み出す産地。また、貴腐ワインや遅摘みワインの発祥地でもある。コクがあり香が包むように豊かなものが多い。場所によっては酸味がしっかりとしたものもある。有名な醸造地として、Schloss Johannisberg(シュロス・ヨハニスベルグ)やSteinberge(シュタインベルグ)など。
●Nahe(ナーエ)
鉱山地帯であったので土地により土質が違い、非常に変化に富むので出来るワインも多種多様なものが出来上がる。 故に「試飲小屋」とも呼ばれてます。また、ドイツで最も降雨量の少ない地域なので優れた独特のワインも生まれる。故にナーエのワインはこんな味だとも言えない理由がある。
●Mosel-Saar-Ruwer(モーゼル・ザール・ルーヴァー)
3つの地域を総称して呼んでいる、ラインガウの好敵手。他の地域よりも気候の影響を受けやすい地域で、リースリング種の本来もつ力を最大限に発揮できる地域と定評があります。産出する殆どのワインは白ワインでその風味は酸味の新鮮さに富んだ、さわやかでキレのいいワイン。しかし、いい条件で育ったワインは,リースリングの場合ですと、一転してまろやかで素晴らしく繊細な芳香の高いワインと変身します。有名な醸造地ではzell(ツェル)村の他にBernkastel(ベルンカステル)村。この地方は世界最高峰と言われるエゴン・ミュラー家のシャルツホーフベルグを筆頭に素晴しいリースリングのワインが沢山あります。
●pfalz(ファルツ)
ラインヘッセンに並ぶドイツ最大のぶどう栽培地の一つ。以前はラインファルツでしたが正式にファルツと改名。ここもヘ ッセン同様に温暖な気候に恵まれていて栽培されているぶどうの品種も豊富である。
●Franken(フランケン)
ここのワインボトルはブランデーの瓶のような瓶でユニークな形。正式名称はボックスボイテルと言うらしいです。この地 域のワインは、ドイツワインの中で男性的と言われる辛口ワインです。カラっとした感じで、まさに辛口という感じです。 また、ここでも上質のシルヴァーナ種ワインが楽しめます。この他にHessische Bergstrasse, Mittelrhein, Wuerttemberg, Baden,Sachsen, Saale-Unstrutがアンバウゲビーテとして指定されてます。


【格付けについて】

ドイツワインの格付けは、品質重視とされる。厳しい検査に合格したワインだけが、良いワインの証として称号をもらえる。 
●DEUTSCHER
TAFELWEIN(ドイチャー・ターフェルヴァイン)
原料が、ドイツ国産ブドウのワイン。エクスレ度44〜50。
●LAND WEIN(ランド・ヴァイン)
一般に言う地酒。原則的にハルプトロッケン(半辛口)かトロッケン(辛口)に仕立てなければならないのと、最低エク  スレ度がターフェルのよりも3度以上高くなければならない。エクスレ度47〜55。
●Qualitatswein bestimmer Anbaugebiete(クヴァリテーツワイン・ベシュティムター・アンバウゲビーテ)
略してQ.b.A(クー・ベー・アー)又はクヴァリテーツヴァインと呼ぶ。最も一般的に 
多く飲まれるワイン。エクスレ度50〜72。
●Qualitatsweinmit Pradikat(クヴァリテーツワイン・ミット・プレディカート)
略してQ.m.P(クー・エム・ペー)又はプレディカートワインと呼ぶ。このクラスはエクスレ度と言う残糖の度合によって更に6つのランクに分かれ、それぞれ称号が付けられる。このク ラスのワインには全て補糖は許されてない。
●Kabinett(カビネット)
Q.m.P中で最も糖度が低い。収穫時期9月〜10月の平常時期。エクスレ度65〜85。
●Spatlese(シュペートレーゼ)
収穫時期から1週間ほど遅らせたもの。「Spatlese」は「遅摘み」の意味。エクスレ度76〜95
●Auslese(アウスレーゼ)
完熟した房を選んで摘み取られたもの。「Auslese」は「選び」の意味。エクスレ度83  
〜105。
●Beerenauslese(ベーレンアウスレーゼ)
貴腐菌のついた粒も交じらせ、超完熟の粒を厳選し、つくられたもの。「Beeren」は「完熟した」の意味。エクスレ度110〜128。
●Eiswein(アイス・ヴァイン)
11月末〜翌年1月頃まで収穫を伸ばし氷結した粒を収穫します。天候まかせなので必ずしも毎年とれる訳ではない貴重なワイン。エクスレ度110〜128。
●Trockenbeerenauslese(トロッケンベーレンアウスレーゼ)
良い気候条件のもとで完熟したぶどう粒に貴腐菌が付着し、水分を奪われ糖度が凝縮されたもの。エクスレ度150〜154。
※エクスレ度
ドイツ人のエクスレ氏が発明した果汁比重計による糖度の単位。

畑の単位と名称。

Einzellage(アインツェルラーゲ) 単一畑
Grosslage(グロスラーゲ) 総合畑
Bereich(ベライヒ) 地区畑
Anbaugebiete(アンバウゲビーテ) 地域畑
Ortsteillage(オルツタイルラーゲ) 例外
このように栽培畑は、単位が最少単位になればなるほど個性が出やすいともいえるが、単一畑と言えどもその品質は様々です。しかし品質の劣ったものを提供していると言うことではありません。クヴァリテーツの名の付くQ.m.P、Q.b.Aにおいては公的検査という厳しい品質検査がおこなわれ、それに合格したワインのみが上級ワインとしてのお墨付をもらえるのです。


【葡萄品種】

白ワイン用

●リースリング
ドイツで一番有名な高級品種。ミュラー・トゥルガウに次いで多く栽培されています。フルーティーで酸味のある風味で、糖度が高くても酸の強みでクドい味にはなりませんので非常に飲みやすい品種で
す。また、若いワインにも最適で、モーゼル・ザール・ルーヴァーでは、最もその持ち味を発揮することで知られています 。熟成は遅く、非常に寿命が長いので長期熟成にも耐えられます。寿命の秘訣は豊かな酸。味はさわやかに仕上がり ます。そのぶどうの粒は、小さめで香りが非常に高い品種です。
●シルヴァーナー(Silvaner)
落ち着いた風味で程よい中間さを持つ品種。リープフラウミルヒなどではまろやかな風味をもたらします。よく個性がな く低品質の品種と言われる嫌いがありますが、ラインヘッセンのラインフロントで作られたものやフランケンのもの、トロ ッケンベーレンアウスレーゼ、アイスワインなどは奥深いボディーが出ます。また、ブレンドで は酸がのりすぎた葡萄を 、フォローする重要な品種です。リースリングと同じく在来 種で現存する色々な品種の親的存在。ミュラー・トルガウ、 ショイレーベ、オルテガ、バフースなどは、リースリングとシルヴァーナーの交配種でもあります。
現存する多数の葡萄品種の先祖であり、性格は穏やかで縁の下の力持ち、早熟で土壌の好き嫌いがあまりないとってもいいヤツなんです。3番目に多く栽培されている品種。
●ミュラー・トゥルガウ(Mueller thurgau) ミューラー氏の開発による、リースリングとシルバーナーの交配種。熟成が早く土壌 を選ばない一般的に若いうちに飲む品種。フレッシュで、マスカットのような香りがあると言われてます。主にブレンド用として使われることが多い品種 です。
●ルーレンダー(Rulaender)
「グラウアー・ブルグンダー」と呼ばれる。フランスでは、ピノ・グリと呼ばれています。アルコール分く特有の香りを有す るボディーのある品種と言わてます。
●グートエーデル(Gutedel)
在来種、バーデンで栽培されています。日常ではあまりお目にかけないかも知れません。軽口で酸の少ない品種。
●エルブリン(Elbling)
在来種、モーゼル上流地区に栽培されてます。かなり古い品種で、もともとはイタリアが発祥と言われています。軽口、苦味のある独特な品種。
●フクセルレーベ(Huxelrebe)
在来種であるグートエーデルとCoutillier Musqueの交配種。フレッシュで独特な香りが強く漂う品種です。比較的、飲みやすい品種。
●ジーガーレーベ(Siegerrebe)
Mad. d' Angevinとゲヴュルツトラミナーの交配種。ふわっとした優雅な香り。落ち着いた感じがあってとても受け入れやすい。レーベとは「葡萄」のこと。
●オルテガ(Ortega)
ミュラー・トゥルガウとジーガーレーベの交配種。上品な香りがふんわりとする。適度な酸味と甘さがある。
●ケルナー(Kerner)
わりと新しい品種であるトロリンガーとリースリングの交配種。フレッシュで酸味がありフルーティーなマスカットの香り。糖度は高い。
●ショイレーベ(Scheurebe)
シルバーナとリースリングの交配種。独特な香りを有し、酸味があります。
●シャルドネ(Chadonney)
フランス、ブルゴーニュ地方の品種。ドイツではあまり使われていませんが、高い香りとコクのある風味。辛口ワイン用 。
●ゲヴュルツトルミナール(Gewuerztraminer)
ゲヴュルツとはスパイスのことです。ライチや花の香りがするので有名な品種。ドイツだけでなくアルザスでも人気ある 品種。
その他
●ヴァイサー・ブルグンダー
●バフース
●モリオ・ムスカート
●ファーバーレーベ
●エーレンフェルザー
●オプティマ
●リスラーナー
●ムスカテラー
●オシリス
など60種類以上の品種があると言われています。ドイツではその歴史故に品種改良が盛んなのです。


赤ワイン用葡萄

●シュペートブルグンダー(Spaetburgunder)
フランスのピノ・ノワールのことです。原産はブルゴーニュですがドイツでは赤ワイン用の最高品種です。淡い赤色でタ ンニンが少な目。熟成は早く高い香りと厚みのある味。
●トロリンガー(Trollinger)
フレッシュでフルーティー、ややマスカットの香り。ちょっと重口で色が濃い目、渋みもそこそこあります。主にテーブル  ワインとして飲まれてます。
●ポルトギーザー(Portugieser)
よくヴァイスヘルプスト(ロゼ)に多く使われています。早く熟し、主に辛口に仕上げられる、酸度があまり高くなく、テー ブルワインとして飲まれることが多い。
●ドロンフェルダー(Dornfelder)
色は若干濃い傾向の赤ワインになる。早熟で日常消費的な品種。軽口で渋みが少ないなので赤が苦手な人でも比較 的飲みやすい。