Bourgogne
ボルドーとブルゴーニュの大きな違いは、ボルドーはひとつのクリュ(葡萄畑)が一個人又は会社の所有であるのに対し、ブルゴーニュはひとつのクリュに複数の所有者がいるのが特徴です。そのため、ブルゴーニュのワインは、シャブリでもボージョレでも生産者によってまったく味が異なります。このような場合、たいていネゴシアンのワインよりもプロプリエテール(生産者元詰めのワイン)のワインの方が品質的に上になります。また、もうひとつ大きな違いは、ボルドーは主として複数の葡萄をブレンドして造られるのに対し、ブルゴーニュは普通単一品種から造られます。

【歴史】
ブルゴーニュでは、他のどの葡萄栽培地域よりもワインが日常的な存在となっています。オーセールからボージョレまでパリとリヨンをつなぐこのブルゴーニュでは、全地域に渡って昔からその生活のリズムが葡萄の樹によって支配されてきました。ディジョンの資料でも解るように、葡萄の樹はフランスワインの歴史のまだ浅い頃にこの地にもたらされました。中世の頃、クリニー派やシトー派の教会がブルゴーニュワインの評判を高めるのに大きな役割を果たしました。修道士達のワイン造りの技術は数々の葡萄園の基礎を固め、それらの葡萄園は今でも良いワインで有名です。また、修道院「クロ(塀で囲まれた畑)」と言うワイン名は、ワインを飲む全ての人に親しまれています。しかし、協会所有の大きな葡萄園は、小さな畑を個人が所有するというブルゴーニュの古い伝統からいうと例外でした。今日でも、個人所有の畑は多くの場合10haにも及びません。これらの畑の多くは、何世紀もの間同じ家族で所有され、ワイン造りを行ってきました。この頑強な個人主義のおかげで、100種類ほどのブルゴーニュのアペラシオンの中に、様々 なワインが出来ることになったのです。

【多様性】
様々なワインがあることが、同時にブルゴーニュを複雑にしています。ブルゴーニュの高級ワインの格付けは、おそらく世界で最も複雑なものでしょう。しかし、地質、地理、気象、そして人為的な要因の複雑な織り合わせがブルゴーニュワインの背景にあることは、忍耐強く時間をかければ理解することが出来ます。

【生産地】
ブルゴーニュの主な産地は、シャブリ、コート・ドール(コート・ド・ボーヌとコート・ド・ニュイを合わせた地域)、コート・シャロネーズ、マコネ、そしてボージョレです。

【葡萄品種】
ガメーの植えられるボージョレを除くと、ブルゴーニュの二大品種は、白ワイン用のシャルドネと赤ワイン用のピノ・ノワールです。他には、アリゴテ、セザール、ガメー、ソヴィニヨンがあります。

【土壌】
土壌の違いの多様性がバラエティに富んだブルゴーニュワインを産み出しています。これらの土壌が、最も小さい畑をも特徴あるものにし、ブルゴーニュの個々のクリュの味や香りを個性あるものにしています。

【格付け】
土壌がブルゴーニュの高級ワインの格付けを複雑にしています。中世の頃よりいくつかの地域が他の地域よりも良いワインを生産してきたことは知られていました。18世紀までは、畑名をクリマと呼ばれる小さい区画に付けてきました。これらの区画は、数ヘクタールか数ウヴレ(昔の単位で、約0.04ヘクタール)しかありませんでした。格付けの作業は、2世紀以上に渡って忍耐強く続けられ、最近では科学的な研究の力も得て、現在のブルゴーニュワインの法律の基礎が出来ました。4つの段階のアペラシオンがあります。
品質の順に、
1.グラン・クリュ  特級
2.プルミエ・クリュ 第一級
3.コミュナル    村名AC
4.レジョナル    地域名AC

ラベル表示には、厳しい規則があります。
1.グランクリュには、村名のみを付けます。最も有名なものにミュジニー、シャンベルタン、ロマネ等があります。
2.プルミエ・クリュには、コミューン(村名)の後に畑の名を付けます。サントネー・コラムなどがその例です。いくつかのプルミエ・クリュは、ふたつ以上の畑で構成されており、この場合は村名の後にプルミエ・クリュとだけ表示し、畑名は記しません。
3.コミュナルACには、村名は記しますが、もしひとつの畑からのみできるワインなら、畑名を小文字で載せても良いことになっています。
4.レジョナルAC(一般地域名AC)は、偉大なワインを産する村でも、より控えめな品質の畑があり、これらは単にブルゴーニュとだけ称することが出来ます。