カラ−ブリア州
カラーブリアイタリア半島をブーツの形にたとえるならばそのつま先に当たるところに位置し、北はポッリーノの山塊でバジリカータと隔絶し、南に突出したスパルティヴェント岬は地中海を東のイオニア海と西のティレニア海とに分けている。この土地の4分の3が山地で、残りの平野を主体に農業が営まれている。農産物にはオレンジ、オリーブ、そしてワインがある。 州都はシチーリア島への門戸であるレッジョ・カラーブリア Reggio Calabria で、10世紀のピザンツ風の教会や15世紀の新ロマネスク様式の大聖堂など観光的にも見るものが少なくない。ポッリーノ山塊に続く山岳地帯には今でも猪や狼が生息しているが、その麓ではワインも造られている。
 州はレッジョ・カラーブリアなど3県からなり、全県でワインを生産する。年平均生産量は11万kl、赤ワインが9割以上を占め、また、その97%はV.d.T.である。しかし、D.O.C.ワインも8銘柄あり、中でも赤ワインのチロは有名で、白ワインやロゼワインもあるが、ワイン研究家ピエール・パルンボが旅をしてまで飲んでみたいとの誘惑を感じるというのはチロの赤の方である。チロは「血球を新しく造り変え、体力のないものを元気付ける」といわれ、キアンティの名がまだ知られていなかった時代にも、その名は北海の諸都市にまで達していたという。
 また、レッジョ・カラーブリア県で産出されるグレーコ・ディ・ジェラーチェ Grecodi Gerace は紀元前から知られている白ワインで、V.d.T.ながら香りの良い、優れたデザート・コース向き甘口ワインである。