マルケ州
アッペッニーノ山地から東のアードリア海へ流れ落ちるように開けるマルケはその3分の1が山地、3分の2近くが丘陵である。州都のアンコーナ Ancona は海岸にあってサン・チリアーコ大聖堂をそのシンボルとして持つ。アンコーナに連なる海岸線の一帯は夏のリゾートとして繁盛する。また、山岳地帯にあるウルビーノ Urbino は15世紀頃に栄えた学術都市で、その公爵の宮殿はルネッサンス建築の典型といわれている。ウルビーノはラファエッロ・サンツィオ(1483〜1520)の生地でもある。この州はジャコモ・レオパルディ(1798〜1837)のような詩人やジョアッキー・ロッシーニ(1792〜1868)のような音楽家を少なからず産んだ土地なので、「詩人と音楽家の地」と言われている。州はアンコーナなど4県からなる。 ワインについては、この州の土地が山岳地帯から流れ出る数多くの河川となだらかな丘陵とから成り立っているために、ワイン造りの絶好の条件に恵まれている。最近の生産量は16万kl 、うちD.O.C.ワインは2割弱である。赤・白別では白ワインが5分の3を占める。アンコーナ県のいくつかのコムーネで造られるD.O.C.白ワインのヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージは薄い緑色を帯びた麦藁色の辛口白ワインで、背が高くて胴がくびれた独特の形の瓶に詰められて出回っている。古代から知られた銘酒で、西ゴート族の王であったアラリックがローマに進撃する途中でこのワインを40樽も奪い去ったと伝えられている。一方、小都市ではあるが古塔で有名なマチェラータ Macerata 周辺では、夕陽に生えるその塔を思わせるようなまばゆいルビー色のD.O.C.赤ワイン、ロッソ・ピチェーノができる。レオパルディやオペラ歌手のベニアミーノ・ジーリがこよなく愛したこくのある、しかし、口当たりの良いワインである。