ういきょう(茴呑)酒
江戸時代、オランダ人が伝えたのであろうか、ういきょうを使った酒があった。薬効があって『本草網目』には「治ニ辛腎気痛、偏墜索引、及心腹痛-菌香浸レ酒煮飲レ之、舶薗尤妙。」 とある。ういきょうを酒につけ、これを煮て浸出して飲むと薬効があるとしている。欧米ではういきょうを用いた酒としてはアクアビットのうちO.P.Andersonのものがそれであり、またジンの中で香料にこれを使ったものがある。

ウイスキー
麦芽と水上をまぜて糖化、発酵させたものを蒸留すれば、ウイスキーが得られる。麦芽と水の他に未発芽の穀類を加えることもある。我が国の酒税法では、麦芽と水だけのものをウイスキー原酒とよび、この原酒にアルコールやスピリット、焼酎、香味料、色素などを加えて造ったもので、ウイスキー原酒に似ているものもウイスキーとよぶ。ウイスキーには原料や製造方法によってモルト・ウイスキー、グレーン・ウイスキーの区別がされ、調合のいかんでアメリカではストレート・ウイスキーとプレンデイット・ウイスキーに大別する。またそのタイブによっては、アメリカン・ウイスキー、カナデイアン・ウイスキー、スコッチ・ウイスキー、アイリッシュ・ウイスキー、ジャパニーズ・ウイスキーに分けられる。なおアメリカンとアイリッシュだけほと書く慣わしになっている。【歴史】 ウイスキーの語源はデール人のVisge Beathaであって、Eau-de-の生命の水と同義である。起源については1000年前という説もあり、5世紀頃ともいう。いずれにせよ語源から考えてもかなり以前にゲール人は発酵した麦芽の汁液を自家用に蒸留していたようである。また歴史的にはアイルランドの方が古いようで、スコットランドヘ蒸留の技術が伝わったのは、ヘンリー2世のアイルランド遠征のときであるという(1170年代)。そしてスコットランドから漸次世界へとウイスキーはひろまり、それぞれの国でまた独自のタイブが生れたのである。こうしてウイスキーは世界的な飲料となった。日本への伝来は、1853年ハリスが艦隊をひきいて沖絶から日本本土へと回航したときのことで、他の多くの洋酒とともにスコッチとバーボンを持参したといわれ、帝への献上物の中にもウイスキー一樽があげられてあった。日本でのウイスキーの製造は、明治44年「寿星」がアルコールに香料を加えた人工ウイスキーを発売したが、大正12年本格ウイスキーの製造を開始、やがて現在の国産ウイスキーのタイプが出来上り今日の盛況をみるに至った。現在我が国のウイスキー生産高は年間約18万出である。−アイリッシユ【製造法】ウイスキーの製法は、そのタイブによって多少異なっている。しかしその大筋は、製麦(麦芽の製造)↓糖化(麦芽と水で甘い麦汁をつくる)−発酵(麦汁を発酵させる)−蒸留(発酵した膠を蒸留)−貯蔵熟成−調合−びん詰という工程である。(1)製麦=大麦を水に浸潰し、発芽槽で穀粒の発芽を行なわせる。約一週間、この際穀粒内に澱粉や蛋白質を分解する酵素類が生成あるいは活性化され、同時に穀粒中には糖分や蛋白質の溶解性の成分が少しではあるが造り出される。麦芽の利用は主としてこの酵素のカの利用である。次にできた麦芽を火力で乾燥するが、スコッチタイブはその際ビート(泥炭)を焚いて特有の煙臭をつける。(2)似糖化=麦芽を粉砕し、糖化槽で温水とまぜた後、45〜60℃位の温度を約4時間保持すると、麦芽中の澱粉の糖化と蚕白の分解が完全に行なわれ甘い麦汁が得られる。なお麦芽と水の他に未発芽の穀類を加え、糖化を行なうやり方もある(バーボン)。この麦汁を濾過し固形物を除き冷却する。(3)発酵=冷却した麦汁は発酵槽に送られて、酵母を加えて発酵を行なわせる。3〜4日で発酵は終り、アルコール分6〜7%川になるC (4)蒸超円=発酵の終った液は蒸留梯に送られて熱を加えて蒸留し、その留液を採取する。一般に蒸留梯の構造によって製品のタイブは異なってくるもので、また蒸留のやり方によっても違ったタイブになる。国によってはこれら蒸留に関することを、ウイスキーの定義中に厳密に規定しているところもある。スコッチはスコッチ流に、アイリッシュはまた別に、アメリカンも異なった蒸留をする。一般にはポット・スチルという簡単な銅製の蒸留機を用いる。この装置では酵中のアルコール以外の揮発性成分−香や味に影響するもの−の分離はきないから、製品は濃厚な特有の香味をもっている。これがモルト・ウイスキーである。アルコール分は60〜70%である。また蒸留では最初に出てくる部分が初留、中頃が中留、最後が後留といって区別する。蒸留のやり方で一回だけしか蒸留を行なわないものは、そこでこの区分のうち中留のみを製品に送り、初留と後留とは次のもろみの蒸留にまわす。二回蒸留をするものは、最初は区分せずに全留液を回収し、二回目に区分して行なう。蒸留機にはポット・スチルの他にパテント・スチルとよばれる装置がある。これはアルコール以外の揮発性成分をある程度は分離除去できるので、製品は香味はうすいが軽快である。グレーン・ウイスキーがこれである。ポット・スチルを使用するのがスコッチ、アイリッシュ、日本等で、パテント・スチルがアメリカンである。ただし最近は前者も後者で蒸留した留液を混和するようになってきている。つまり現在のウイスキーは蒸留機からいうと、ほとんどがポット・スチルとパテント・スチルの製品の調合したものといえる。(5)貯蔵熟成=蒸留したてのウイスキーは無色で粗く、そのままでは製品にはならない。まず水を加えてアルコール分を50〜70%に調製するが、このうすめ方もタイプによって違う。このものをふつならうは楢(なら)の樽に入れて何年か貯蔵する。この間に香味は粗さがなくなってまるくなり、色も樽の色が浸出されてくる。これが熟成であるが、この理論はまだ学問的には明らかではない。しかし、おそらく樽材がいやな成分を吸着し、また樽材から何かが溶け出てきたり、樽材を通して少しずつ入ってくる酸素の作用など、いずれもがきわめてゆるやかに行なわれて、熟成ができあがるのであろう。また貯蔵中、樽材を通して水は外部へ蒸発するが、アルコールの分子は通り難く、その結果アルコール分は少しく増加する。一方入っているウイスキーの量は減少する。樽語の貯蔵期間は、これもタイブによって異なっており、イギリスでは最低3年と規定され、アメリカでは四年としている、10年位までは長い程よく、まる味と濃醇さは貯蔵でなくては得られない。(6)調合=樽に分けて貯蔵された酒は、出荷の前にいくつかの樽の内容をまぜあわせ−調合−て商品をつくる。つまり樽毎に少しずつ酒質が昇なることがあるので、このような調合によってたえず同じ酒質のものを市場に送り出すことができるのである。モルト・ウイスキーにグレイン・ウイスキーをまぜるときも、もちろん酒質を中心に調合が行なわれる。調合の技術は全く勘と経験によるもので、奥深い技法である。(7)びん詰=調合の終ったものは、場合によりさらに短期間ではあるが樽で貯蔵されて後、びん話されて市場へ出荷される。【ウイスキーの飲み方】ウイスキー特有の香気を楽しむため、最も基本的な飲み方はそのまま飲むのがよい。このためウイスキーグラス (1〜2オンス容)が用いられ、水が別に添えられる。また単に水で割る飲み方もあり、この時のグラスはオールド・ファッションド(4〜6オンス容)がふつうである。オンザロックスは氷をグラスの中に重ねておき、この上からウイスキーを注ぐというやり方。ハイ・ポールはソーダでウイスキーを割ったもの。グラスは前記のオールド・ファッションドか、タンブラーの中位のもの。水やソーダで割るときは、約90mlの酒を倍にうすめるのが普通である。ウイスキーをベースにしたカクテルもいろいろあるが、最も有名なのはマンハッタンで、これはアメリカン・ウイスキーをべ−スにベルモットを加えたものである。ウイスキー・サワーはウイスキーにレモンジュースを加えたものである。

ウォッカ
ロシアで生れた伝統的な蒸留酒である。全く無色無臭、味も淡く、アルコール分40〜60%、磨き抜かれた蒸留酒である。今ではウォッカは世界的な酒となり、特にアメリカを第一とし欧米でよく飲まれている。ウォッカが無臭であることは却って一つの特長となり、ウォッカを飲む流行は欧米ではカリフォルニアで始まり、間もなくアメリカ全土やヨーロッパに広がって行った。ウォッカの原料は大麦が主で、とうもろこしや小麦が使われることもある。加熱して蒸煮し、麦芽を加えて糖化、続いて発酵させる。発酵が終ったもろみはパテント・スチルにかけて蒸留するから、不純物の少ない中性で純良なアルコールがとれる。ここまではグレイン・ウイスキーの製造法と同じである。次に水でうすめて約40%にした後、白樺の炭の層を通して濱過精製する。ここがウォッカの製法上の特長で、このために数本から20本の銅製(最近はステンレス製もある)の円塔に白樺の炭をつめたものが設けられてあり、この中をゆっくりと順々にアルコールを流すのである。塔の数、炭とアルコールとの接触時間が製品の品質に影響する。このように精製したものは、特別に熟成を行なわずびん話する。粗さや不純物からくる匂いや味は炭で処理することで、全く除かれ、無臭のウォッカが生れるのである。ウォッカはそのままストレートで飲む(水を添えて)やり方もあるが、これでは慣れていないと潰れてしまう。普通鉱泉水で割るか、トマトジュースで割って飲む。またウォッカは無臭無味であることから、マルチニその他いろいろのカクテルのよきべ−スとして用途は広い。

薄火 うすび
昔は密火(かくしび)ともいって、余り熱くなく、加温の際手を入れて2、3回かきまわせる程度の熱さに火入することを指し、別に 「薄火とは手引−本火入−より前に火入る事」と『童蒙酒造記』にあることから、おそらくふつうの火入とは別に、清酒が多少変敗したようなとき、別に火入することを意味しているのであろう。その後桶に火入貯蔵したもの又は酒質の弱いものを夏に出荷するとき、さらに火入して樽話することを指すようになったが (『酒頼工業』) これもほとんどびん詰に変った今日では、古語となってしまった。

謡物 うたいもの
清酒膠を仕込む際の操作で、独特の作業歌を歌いながら、仕込んだ酵の中に擢を入れて一様に揖拝操作を行なうこと。ふつう謡物は、酵の荒穫−膠仕込後第一回目の捜拝操作−後2、3時間目で行なうもので、二人で5〜10分間長い棒でつきながらまぜる。昔はこの時間は作業歌のくりかえしで見当をつけたのである。今ではしだいに廃れている。 

梅酒 うめしゅ
梅の実を砂糖の入った焼酎に漬けた一種の果実リキュール。我が国では家庭内で自家用にこのような果実類を(ぶどうは除く)焼酎に漬けて酒を造ることは酒税法の免許がいらないことになっている。梅酒をつくることが古来我が国の一般家庭の習慣であったことから、このような取扱いとなった。梅酒のつくり方は、五月から六月にかけて青い梅の実がとれる。傷のついていない、きれいな梅の実を水で洗い、水切りをして水気をふきとってしまう。苦味をとるため、予め一日位水に漬けておくのもよい。次に蓋のある密閉できる容器に焼酎を入れ砂糖を加えて溶解させてから梅の実を入れる。撹拝などは行なわず密閉して静置する。この間に梅の成分がある程度浸出され、特有の香味が生れてくる。約一ケ月で飲めるようになるが、4〜6ケ月おくとよく熟成する。飲むときはそのまま、あるいは氷水で割ったりして飲むのがよい。砂糖の量は余り多くしない方が旨いものができる。1〜2ケ月で梅の実を引きあげた方が苦味が出ずきれいに仕上がる。梅酒の造り方の基本は以上であるが、各家庭の工夫で漬け込みの期間、梅の実をいつ引きあげるか、砂糖の量などいろいろなやり方を変えた方が興味がある。なお醸造業者の造った市販の梅酒もある。梅酒の成分は造り方で一概にいえないが、アルコール分13%から20%にわたり、糖分30〜36g/dl、総酸1.4〜2.0g/dlである。

梅 宮 うめのみや
京都市右京区梅津にある酒の神を祭った神社としてしられている。祭神は酒解神(大山祇神)、大若子神、小若子神、酒解子神の四柱である。その由来はその由来は天孫瓊々杵尊が木花咲耶姫を皇妃となし一夜の契りで懐妊したのを、尊が疑ったので、姫は産殿に火を放ち、吾が子が天孫なれば全からむと誓われたが、火中で恙なく一子を安産した。この皇子が産火火出身尊で、姫の父大山祇神がよろこんで狭名田の稲で天甜酒をつくり天地の神に捧げた(『古事記』『日本書記』)。これが穀物の酒の始めといわれ、これから宮中で儀式に酒を用いることになったという。これによって孝謙帝の天平宝字年中、藤原不比等の女、橘三千代がはじめて四人の神々を祭り、以来梅宮の四祭神は酒の神として、また安産の神として崇められた。梅宮の神官は代々橘氏であるが、その橘氏橋本家には神代稲であるといわれる特別の稲を保存し育成を続けてきた。いつかその栽培は中止されたが昭和になってその籾を神田にまいた所、発芽し立派に収穫を見た。このものはふつうの稲と異なって大きな稲であり、茎も太く長く、2mに達するものあり、節は葦に似ており、穂の長さも房々と長くたれている。古くからの酒造米の産地兵庫県美嚢郡吉川村にも、大粒で茎の長い米があるが、品種的には梅宮の神代稲と異なるらしい。

粳米 うるちまい
米のうちで蒸しても (糊化) 粘り気が少ない種拓釈のもの。化学的には構成澱粉のうちアミロペクチンの含有量が少ない。飯米、清酒の麹米、蒸米、みりんの蒸米などは粳米である。